協会便り 2017年10月号
第7回 「ティータイム・コンサート」 を終えて
9月17日(日)第7回「ティータイム・ギターコンサート」が豊田市の農業環境改善センターで開催された。前日、九州地方に大型台風が上陸し、猛威を振るいながら日本列島を北上しているという予報が常時報道されていた。17日の日曜日は、3連休のちょうど真ん中。「ティー・コン」中止の判断は難しい状況が続いていた。この日、気がかりを抱えながらも三重奏ヘンデルの「サラバンド」の音合わせをしていた。その最中、出場者の方から「明日はよろしくお願いします!」と、メールが入る。“台風、何するもの!”というやる気満々の熱い気持ちが一瞬で伝わってくる力強いメールであった。コンサートに向けて、一生懸命に練習してきたのである。台風で流れるかもしれないという不安など微塵も感じられない爽やかメールに、3人ともが大いに元気をもらったものだ。
さて当日、台風が刻々と北上している状況にもかかわらず、最後まで一粒の雨も降らない幸運に恵まれた。17組の挑戦者がそれぞれの思いを込めて晴れ舞台に立ち、日頃の成果を発揮することができたのである。嬉しく思うと同時に、まるで“大いなるもの”の力に後押しされているかのような幸運の数時間に、心から感謝した。さて、最も多くの聴衆の心を引き付ける演奏をした者が獲得することになっている「聴衆賞」の行方は、以下のとおりであった。
聴衆賞 蔵本浩史さん
曲目 「ラグリマ」と「前奏曲 BWV998」
受賞とは別に、皆さんの演奏はどれも渾身の力を振り絞ったものばかりであった。練習時の5割~7割方しか発揮できず、悔しさを残した人もいたが、それはそれでよいことだ。当日までに頑張ってきた膨大な努力の積み上げは、確実に将来に向かっての力として刻まれていくはずだ。大事なことは、「続けていく」ことに意味がある。
恒例の会長自らによる演奏は、ヘンデルの「サラバンド」を三重奏で弾くという形をとった。ハウザー3台による演奏という贅沢な企画で、合奏の醍醐味を味わってもらいたいと思ったからである。聴衆の皆さんからの反応は大変よく、今後の恒例サプライズの方向として大いに参考になった。演奏後の交流では、「あがってしまった」という挑戦者の方たちに対して、「あがらない為のアドバイス」という話で盛り上がった。人前での演奏では多少の緊張はあるものだし、あった方がいいとも言える。緊張はあるが、それを少しでもコントロールする自分なりの方法は持っていた方が心強い。演奏の話だけでなく「あがらない方法」という話で盛り上がるのもまた、開放的な「ティー・コン」のよさであろう。
2017.10.01
吉本光男