協会便り    2018年8月号

          エトワールバレーとのコラボ

 

7月28日(土)、豊田市民文化会館小ホールにて「エトワールバレー 第43回定期公演会」が開催されました。この日は台風12号が、まさに東海地方を直撃するコースを取って進んでおり、直近の進路や激しい風雨の様子が刻々と報道されている中での開催でした。幸い、台風の進路は愛知県直撃のコースを微妙にずれて西へと向かい、コンサートは盛況のうちに終了。ほっと安堵の胸をなでおろしたというのが正直な気持ちでした。

 

「第43回定期公演会」において、楽器とのコラボは、今回で3回目ということでした。「琴とバレー」と「ギターとバレー」のコラボは勿論の事、「東京コスプレ」も大変好評でした。全2時間半にわたるバレー公演会の内容の豊富さは驚くほどで、最後まで会場を沸かせていました。公演会終了後、荷物をまとめて会場を出る段階でもまだ雨も風もない状況で、本当に感謝感謝の嬉しい一日でした。

 

さて、2部で披露されたバレーとギターとのコラボについてもう少し詳しく報告したいと思います。リハーサルでは、常設のマイク調整に難しさを感じたり、バレーとのコラボである為照明がかなり強く弦が非常に不安定になるという怖さを味わったりと、いくつかの不安材料が吉本先生をナーバスにしていました。しかし、本番で観る当協会会長・吉本光男先生が弾かれたアルベニスの「パバーナカプリチオ」と、2人のバレリーナの舞いは息ぴったり。舞台を華やかに創りあげ満席の聴衆を非日常の夢の世界へと運んでいったのでした。公演の芸術総監督である諏訪等先生による振り付けの素晴らしさによるところも大きいと感じました。

 

バレーとのコラボは「初めて」という吉本光男先生でしたが、ギターと共にある美しい佇まいと、円熟したその演奏に会場からは熱気のこもった拍手が湧き起こり、まさにプロの技の凄さを間近に体験することができました。ただ、ギターは生演奏に勝るものはないということも感じました。会場が広いので、マイクを通さなければ音源が会場全体に届かず、バレーとのコラボが難しくなるという現実の前で、吉本先生も「どこに妥協点を置くか」という選択に迫られての演奏だったようです。プロの技とは、技術面だけではなくどんな困難な状況に置かれも「そこで出せる最高の成果を上げていく」という、まさに精神力の強さこそが要求されていることを目の当たりにし、私自身ぞっとする程緊張してしまいました。言い訳の利かない厳しいプロの世界で勝負していく「プロフェショナル」。何歳になっても「初めてのこと」に挑戦していかれる吉本光男先生の真直ぐの心意気が眩しく感じられます。

 

9月は、薔薇館での「情熱のフラメンコ」です。既にチケット完売という状況の中での今回の経験は、フラメンコギターとの初共演という更なる挑戦への大きなエネルギーになっていくのではないでしょうか。今後も、本協会発展のために大いに活躍していただけることを願っています。

                        2018.08.01

                          事務局