協会便り 2017年06月号
「アジア国際ギターフェスティバル」へ
6月、梅雨の季節である。今年は、梅雨入りまでに暑い日が続いている。最近は、熱帯の「スコール」のような異常気象が災害という形で局地的に暴れ出す場面がニュースで流れることも多くなった。しかし、自然界にとってなくてはならない「恵みの雨」をもたらすのもまた「梅雨」の季節である。私の愛器ハウザーにとっては、程よい「湿気」がより透明感のある麗しい音色を醸す嬉しい時期といえる。
この時期に、タイのバンコクで恒例になった「アジア国際ギターフェスティバル」が4日間の日程で開催される。ホームページにも案内したが、6月8日~11日の4日間、私、吉本もこの「アジア国際ギターフェスティバル」にちょうど10年ぶりに招請されることとなり、現在周到に準備を進めている。4日間の中では、ギター演奏だけでなく様々なギターに関する行事が開催される。聴衆として誰でも参加できる「4日間連読の楽しいフェスティバル」なので、この時期に時間と懐に余裕のある人は、勉強がてら遊びがてら聴衆として参加してみるのも楽しいのではないだろうか。私自身は9日、現地時間の午後2時から40分間の演奏と、期間中に開催されるコンクールの審査員としての仕事を負うことになっている。因みに、私のコンサートの曲目は以下の通りである。
日本古謡 ……… 「さくら変奏曲」
ビラ・ロボス … 「練習曲No.1」「前奏曲No.1」
「ショーロス No.1」
タレガ ……… 「前奏曲No.11」「カプリチオ・アラベ」
バリオス ……… 「クリスマスの歌」「郷愁のショーロ」
アルベニス……… 「アストゥーリアス」
このフェスティバルは、名称に「アジア」を冠してはいるがドイツやフランスなどヨーロッパからの参加者も多く、広く世界に開かれたものとして認知されている。会場には、ギタリストや聴衆だけでなくドイツ、日本、韓国、タイ諸国等のギター製作者も自慢のギターを出展して参加してくる。
本協会が5月に主催した三好のサンアートの「レオン・クーデラックコンサート」で、クーデラックが使った韓国のギターの製作者も来るという。このギター製作者や、フランスのギタリストであるアビトンとの出会いは、このフェスティバル参加の楽しみの一つになっている。新しい出会いの中でどんな物語が始まるのか、今から楽しみである。フェスティバル旅日記は、次号でお知らせしようと思う。
2017.06.01
吉本光男