ギター上達コラム

      第64回 える力」

 

   オリンピックイヤー 2020年の幕開

 

  新年 明けまして おめでとうございます

 

新しい年号を祝う令和元年が終わり、静寂の中で除夜の鐘が新しい年明けを告げている。今頃は、会員の皆さんの胸の中にも「今年は、こんな一年にしたい」という思いや願いがふつふつと胸に湧いていることだろう。誰しも、よい年にしたいという思いは同じだ。

 

そんな中に在って昨年末、携帯に力強い応援の言葉が飛び込んできた。昨年9月にリリースした吉本光男ギターソロアルバムⅣ「星の涙」を聴いた感想としてT・Iさんから送られてきたものだ。

 

 

『アルバムの感想を投稿させてもらいます。

言うまでもない音色の美しさ、重厚な低音の響き、型にとらわれない自由度の高い表現、大胆な音色の変化など随所にセゴビア的またブリーム的な要素がちりばめられていていることに気づかされます。

BGMとして流していても、思わず聴き入ってしまうものでした

また、バリオスに関して言えば、もしもセゴビアが弾いていたならばこのようであったろうというイマジネーションを掻き立てられるものでした。

まるでブリームの様にギターが持つポテンシャルを最大限に引き出すとともに、その本来の純粋な魅力を後代に伝える作品だと思います。あらためて、この先生から教わってよかったと思いました。次作も楽しみにしています。』

 

 

彼は6年間、私の下でギターを習っている。大変に熱心な生徒で、私の言葉の一つ一つをメモしたり、録音したりして次の練習日に臨んでいた。音色にこだわる私の教えを丁寧に受け取り、求める音色に近づこうと一生懸命に努力していた姿が思い出される。目標に近づくための努力を惜しまずその方法を常に工夫し続けた彼の最大の美点は、素直なことであった。「私には無理」「できない」ではなく、まずは受けいれて努力していった彼の素直な心が、「聴き分ける良い耳」と「細部に気づける細やかな感性」を育てていったのだと確信している。感想の中で特に嬉しいのは、私が今も求め続ける「極めたい音色」について丁寧に書こうと心を砕いているところである。

 

彼の言葉は、どこまで行っても「ゴールはない」果てのない「道」の中にあって、それでも極めずにはおられない私の心に除夜を彩る鐘音のように染み入ってくる。音楽に限らず、「伝える力」の源泉は情熱である。情熱なしにどんなことも相手の心に届けることは難しい。彼の感想から伝わってくる熱い想いを、私もまた素直な心で新年のエールとして真摯に受け止めたい。

 

今年も、「ギター上達コラム」愛読者に向けて、できるだけ日々の行動目標に繫がるような記事を具体的な実践を基に紹介していくつもりである。共に、「ギター上達」に向けてひるむことなく精進していきましょう。

                        2020.01.01

                         吉本光男