ギター上達コラム

       謹賀新年 2023年

明けまして おめでとう ございます

 

2023年の幕開けである。本協会も今年で10年目を迎える。支えて下さっている関係者皆様、本協会に関心を持ち続け応援して下さっている会員の皆様、そして本協会の「便り」や「コラム」他を楽しんでくださっている多くのギター愛好家の皆様に、心からの感謝の気持ちをお伝えしたい

さて、毎月の「上達コラム」も、今月で100号を迎えることとなった。

今月号は年初めでもあり、練習の為の「3つのキーワード」について述べてみたい。

 

【その1】自分の出す音を丁寧に聴く 〜音色と調和〜

このことは、何度も「上達コラム」に書いてきたことなので今さらと思うかもしれない。しかし、何度でも言いたくなる程ギター演奏にとって重要なワードである。

もともと、小さな音の楽器ではあるが、どの楽器のそれより優しく美しいと思っている。しかし、どれほど美しい音であっても飛び出したその瞬間から「消えていく運命」を背負わされている。大事なことは、音を立ち上げるとき、弦にタッチする瞬間の指の感覚を明確に意識し、立ち上がるメロディーと伴奏の調和に真剣に耳を澄ませることである。消えていく瞬間の音は繊細で、聴こうとする者にしか聴こえない。自分の出した音をよく聴こうという明確な意志を持つ態度こそが上達の道に繫がっていくと考えている。

 

【その2】イメージの設計図を持つ 〜ギターは小さなオーケストラ〜

スポーツ選手は「理想とする動きを頭の中で明確にイメージ」し、それに向かって何度でも「できるまで」練習を重ねていくという。ギターも同じだ。自分がこうありたいと願う音色やメロディーのイメージ、全体の流れが再現できるようになるまで何度でも諦めずに繰り返すことが練習の基本である。例えば人前で弾く場合、脳裏にある「イメージの設計図」から解放されるところまで徹底した練習を積み上げた者だけが、自然体でより大きな演奏を創ることができるようになる。

 

【その3】心で歌うように弾く 〜深い呼吸〜

 演奏するとき、心の中でメロディーを歌おう。歌うことで「呼吸」は自然に深くなる。歌うことから生まれる深い呼吸は、歌への想いからくるものであり、そのことが「自分独自の表現」をつくることにとなる。歌うことを意識して奏でる音楽には、楽譜を尊重する態度を超えて自ずと「独自性・らしさ」からくる「隠しようのない私」が染み出てくるものだ。どうであれ、それが演奏する者の抗いようのない感性をまとった「個性」となる。

毎日の練習で、上記の「3つのキーワード」を意識するだけでもギター上達への道はより確かなものになっていくはずだ。まずは素直に、「実践してみる」ことをお勧めする。

 

来月2月号からの「上達コラム」は、「上達コラム・実践編」とする。少なくとも月1回の割合で、YouTubeに自身の現在の演奏を配信する予定だ。愛好家の皆さまの日々の練習の参考になれば幸いである。

 

2023年。今年も、新たな気持ちで自分の目標に向かって共に粘り強く励んでいこう。

                             2023.01.01

                                                           吉本光男