ギター上達コラム

      第75回 「終わり の 始まり」 

 

これまで、講座として「ギターの構え方」「アルペジオの練習」「音色の変化」「運指の工夫」等々、facebookにupしてきた。このコラムを読んでいる会員の方にも参考にしている方はいるようで嬉しく思う。

 

もちろん、体格とか指や爪の形状においては個人差があるし、それ以前に考え方の違いもあるからやり方を強制しようとは思わない。だが、upした内容を自分なりに吟味し、気づきや疑問を手掛かりに一つずつ実践の中で確かめていきながら、上達の階段を一歩一歩と昇っている皆さんがいるという事実がこの取り組みへの大きな力となって私を元気づけているのは確かである。

 

 教室では、疑問に思ったことや困難について質問されることもある。

れもfacebook見て「実際にやってみる」ことで生まれたものばかり

で感心させられることが多い。「問い」は好奇心の発露。上達に向かう

ためのスタートラインでもあるので大いに推奨したい態度である。

だが、本当に大事なのはここからであることも知ってもらいたい。

行動することによって一つの疑問が解消されたとしても、また新しい問

題や不具合が生まれてくるのが常である。そこに「終わり」はなく、常

に「終わりの始まり」があるだけだ。

 

まずは、「終わりは 常に 次への始まり」という意識を持つことだ。この覚悟ができると、どんな状況にあっても「さあ、これからだ!」という気持ちで新しい一歩を踏み出すことができる。次に大事なことは、せっかく生まれた疑問や技術的な不具合を諦めたり、「自分には無理」と決めつけて放置したりしないことである。何とか工夫を重ねながら、日々実践のなかで自分なりの答えをひねり出してみることだ。あれこれ工夫しているうちに、ふと「あ〜ぁ、そうか!」「そういうことなのか!」と、実感を持って分かる段階がやってくる。この段階まで、兎に角やり続けることが大事だ。練習とは、この繰り返しの連続と言っても過言ではない。こうした考える練習こそが、次の行動を起こすきっかけになり実感や気づきを引き寄せる決め手となる。

 

最後は、掴んだアイデアを簡単に手放さない事である。あなたの中から出てきた考えは必ずあなたの経験と繫がっているはずである。宝と思い、自分の体に落とし込むまで丁寧に繰り返してみよう。根気よくこの作業を繰り返していく過程で、人は次第に本物の力をつけていくものだ。上達への道を切り拓く力とは、考えうる限りの方法で不具合に立ち向かう情熱と、繰り返す行動のエネルギーを持続させる心の力にあると確信している。失敗を恐れず、目の前の問題に挑戦していこうとする柔らかな心の力こそが欲しい。

 

 

毎月の上達コラムやfacebook が、会員の皆さんとの「Give & Take」の関係になっていることは嬉しいことだ。最近、これらの関係を更により良いものに発展させるべく、自身の技術と人間力の両輪をブラッシュアップしていくと同時に、映像による発信力も磨いていきたいという思いがますます強くなってくる。このことに一番驚いているのは自身である。

                         2020.12.01

                                       吉本光男