ギター上達コラム

      第59回  上達への上昇気

          ~ 恐れず、怠らず、面白がって、前向きに! ~

 

2018年9月16日に、平針のRose館(バラ館)にてフラメンコギターコンサート『情熱のフラメンコ』を開催した。その日はフラメンコ舞踊もプログラムに入っていたこともあって、会場は熱気に包まれコンサートは好評のうちに幕を閉じた。フラメンコのメロディー部分の演奏を受け持ち、フラメンコ二重奏を演奏したときの新鮮な高揚感を今も鮮明に覚えている。この時は、準備期間が短かったこともあり私自身がフラメンコギターで演奏する曲は限られていた。そのことが何とも心残りであり、クラッシックギターの魅力とは違った面白さに魅かれて、その日のうちに小牧市通いの約束を取り付けた。小牧市まで「月に一度の割合」で山口氏とフラメンコギターの練習を重ねることを決めたのである。そして、それは今も続いている。どんな芸事も、本気で続けていくとその面白さに引き込まれていくものだ。今では、月に一度の練習日が待ち遠しい程である。

 

当初は、「踊り子である娘さんと頑張っているフラメンコギタリストである山口氏の活躍の場を確保したい」という気持ちで企画・開催したコンサートであったが、今では私自身がすっかりフラメンコギターの魅力にはまっている。趣味程度ではつまらない。やるならば本気でと取り組んでいるうちに、あの日4曲だけしか披露できなかったフラメンコ曲も、今では7曲に増えた。1年前まではフラメンコギターをやっている自分を想像もしなかったのだから、人生とはわからないものだ。

 

先月から、「ファルーカ」の二重奏に挑戦している。リズムや拍がクラッシックギターとはかなり違うので戸惑うことも多いのだが、新しいものを一つ一つ獲得していく気分は「わくわく感」を伴い、なかなかにいい感じである。私がフラメンコを学ぶように、山口氏自身もまた私の求めるクラッシックギターの音色に近づくための努力をしている。そしてそれは山口氏の中で確実に身についてきている。フラメンコとクラッシックの真剣コラボだ。今までにない面白い二重奏が出来上がりそうだと、今から密かに期待をしている。

 

フラメンコギターを弾くことで、クラッシックギターの演奏表現の幅が広がったことは間違いない。挑戦する心があれば、一本道も様々なところで花開くことになるということだ。私の場合、すべてがプロの演奏家として最後にはクラッシックギターに結び付くご縁ではあるのだが、「面白い」と思うことを面白がってやっていくことで人とのご縁もまた意味を伴って紡がれていくようだ。「クラッシックとフラメンコの融合」を皆さんの前で披露する機会を持つことで、さらなる「上達への気流」に乗れそうな気がしている。恐れず、怠らず、面白がって、前向きに!誰の上にも平等に吹いている「上達への上昇気流」なのだから、あなたのギターもまた、「恐れず、怠らず、面白がって、前向きに!」やっていくことで気流を感じ、その手で掴み取ることができるに違いない。あなたの挑戦を心から期待している。

                         2019.09.03

                                                吉本光男